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チェロ・黒川真洋さん(2025年7月~9月)

チェロ・黒川真洋さん(2025年7月~9月)

チェロ・黒川真洋さん(使用楽器Cat.no.33 ロレンツォ・マルキ 1983年製)の活動リポートです。


活動報告:

今年の夏はドイツで過ごしました。とてもドイツの夏は過ごしやすく、時折寒ささえ感じます。

7月の半ばまで劇場は稼働していましたが、私はシンフォニーコンサートでシーズンを閉めました。(ドイツのオーケストラは夏に6週間の休みがあり、オーケストラにもよりますが6-7月には一度休みに入り、その後また8-9月あたりで再開します。)劇場の監督であるC.Thielemannとリストのシンフォニーを演奏し、私も弾くまで知らなかった作品だったので今回触れられてよかったです。シンフォニーで仕事を終えた後は先生と約束していた、10日間チェロに触らないという事を少し意識して今年の夏は練習量を質の良いものにして少なくすることに意識を向けました。と、言いつつも9月からのワーグナーのRing作品からDie WalküreとGötterdämmerungが始まるのでその準備も始める必要がありました。2作品の上演時間は合わせて8時間半、ページ数は76ページか2つ分と大大作なので、7月からの譜読みはまずオペラを知ること、そこから始まります。

8月はピアノトリオを本格的に始める予定でしたので、カールスルーエで一週間、ベルリンで二週間みっちりリハーサルをしました。ハイドンのジプシートリオ、マルティヌーのピアノトリオ2番をリハーサル、そしてレッスンも受講しました。久しぶりに密に室内楽をして、毎年小澤征爾先生の奥志賀でのアカデミーがあったのを思い出してあの楽しさをドイツでも感じられたのが嬉しかったです。あいにく現在はこのメンバーで活動を続けていくことは難しくなりましたが、いい夏
の時間でした。

9月に入り、新しいシーズンが始まりました。大好きな同僚やアカデミー生に会えてワクワクしていました。参加が義務の集まりに行った日にラインの黄金のリハーサルがあったので少し鑑賞し、ここのオーケストラの音が私には一番で、本当に初日から素晴らしい音でした。私の最初のリハーサルはワルキ ューレでした。ワーグナーのプロフェッショナルであるティーレマンはやはり素晴らしい指揮で、これだけ長い作品を緊張感を維持させてくるところがやはり弾いていて楽しいです。団員も楽しくないと聴いている側は本当に退屈になる作品なので、彼の指揮のおかげで好きになりました。その後も神々の黄昏が始まりました。個人的にはこちらの方が弾くのは難しく感じますが、悲しさもありたまに3拍子の軽さのあるテーマもきたり、いろんなエフェクトがあり素晴らしい音楽です。最初の休憩まで二時間ありますが、それも弾いていれば意外とすぐに感じます。ワーグナーを今まで少し苦手意識で距離を取っていたところがありますが、今回2作品に触れてみて彼の音楽性にただただ圧倒され、感動させられました。ドイツの劇場ですらRingの4作品を同時に演奏されるのは難しい中、ベルリンの歌劇場でティーレマンと名のある歌手たちと演奏できとても素晴らしい経験でした。10月からそれぞれ2公演ずつ始まります。会場は常に満席。アカデミー生として最後のプロジェクトになります。精一杯楽しもうと思います。

シンフォニーコンサートでの写真

ワーグナー、ワルキューレのリハーサル風景

 


【プロフィールはこちら】
黒川真洋

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