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チェロ・黒川真洋さん(2025年10月~12月)

チェロ・黒川真洋さん(使用楽器Cat.no.33 ロレンツォ・マルキ 1983年製)の活動リポートです。


活動報告:

アカデミーの終盤に迫った10月には、die WalküreとGötterdämmerungの公演とVerdiのLa Traviataを中心に参加していました。Die WalküreもGötterdämmerungも大盛況、大成功に終わり日本ではなかなかできないWagnerのオペラをフルで、しかも世界で活躍するワーグナー歌手たちと演奏できることができて大変嬉しく、大変勉強になりました。そして劇場に入ったばかりの頃に勉強させていただいたLa Traviataも素晴らしい作品で再度弾けたのは幸運でした。1度演奏したオペラを再度弾くと自分がどれだけ成長できて、どんな課題がまだあるのか、落ち着いて自分の状態を判断できて、それもまた新しい勉強になりました。

この月にはオーディションなどでいろんな都市にも周りました。この2年を経て、自分の精神的な部分はだいぶ強くなったと感じます。それでもオーディションで負けていくことはあまり簡単ではありません。もう少し自分を見直す時間が必要だと感じました。

11月には前在学していた、カールスルーエでリハーサルやレッスン、さらにマスタークラスをたくさん受講しました。室内楽が大好きで、多くのレッスンをトリオの編成で受けられたことはとても実りのある時間でした。また、フォーレカルテットのメンバーのレッスンは印象的なレッスンで、彼らがどうしてメ
ンバーを変えずにここまで来れたのか、それがひしひしと伝わりました。自分ももっと音楽に体をまかせて楽しんで演奏したいな、と強く感じられる月でした。

そしてアカデミー生として最後のプロジェクトはVerdiのFalstaffでした。Verdi作品をこれまで多く弾かせていただきましたが、彼の最後のオペラ作品、そして唯一の喜劇をこの最後の機会に弾けたのはとても意味のあるものだったと思います。彼の作品は室内楽的な難しさをあまり感じることはないですが、このファルスタフは非常に複雑な作りで難しく、スコアをみても理解をするのが難しい時もありました。この作品は昔、Staatsoperに指揮者のアバドが振りに来たこともあるようで、その時に弾いていたメンバーからお話しを聞けたりと、とても面白いこともありました。この2年間、お借りしているこのチェロでこの劇場で弾かせてもらえて本当にこのチェロはたくさんのいい音楽を浴びてきたなあと思います。感謝の気持ちを持ってアカデミーを終えました。

12月はアカデミーを終えたものの、エキストラとして懇願して弾かせてもらったPucciniのLa Bohemeと毎年12月に満席になるTchaikovskyのSchwanenseeを演奏することになりまだ劇場に何度か入ることができました。ボエームは3本の指に入るほど大好きなオペラで、初めて劇場で参加させてもらったオペラでもありました。思い入れがあって、とても楽しく演奏させていただくことができました。この頃からドイツの音楽学校の派遣社員として生徒をレッスンすることも増えました。今現在の生徒数は12人おり、小さい子で8歳、大きい子だと15歳ほどです。自分が15歳の頃はチェロの練習も苦手だったのに、自分の生徒たちはすごく真面目にレッスンを取り組んでくれるので、教える私も学ぶことが多くいい経験になっています。

この2年間、お借りしたチェロと共に様々なプロジェクトや経験を積むことができました。ドイツに来てからこのチェロを弾いて2年、ここの音楽や空気に触れて今、チェロの音も2年前からだいぶ変わってきています。今後もこのチェロが様々な旅に出て、いろんな音を吸収していくことが楽しみでもあります。
本当に2年間、ありがとうございました。


【プロフィールはこちら】
黒川真洋

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